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佐藤中国経営研究所
代表 佐藤忠幸氏


「佐藤氏に聞く!〜中国の製造業〜」



<前回の続き>

−無固定期間労働契約の追加により、労働法施行時に可能であった企業側の一方的な解雇(注8)が難しくなったわけですが、その際雇用時の人材の「選び方」、そして優秀な人材の「定着化」が重要になってくるのではないでしょうか?

そもそも人材は「選ぶ」ものではなく、「創る」ものです。どんな人材も、採用時にはみな“原石”ですから、優秀な人材を「選ぶ」ということは難しいのです。採用した“原石”を“宝石”へと磨き上げるのが、企業の役割ではないでしょうか。もちろん、採用した人材の中には“原石”のままの人も、“宝石”へと成長する人もいますが、“宝石”へと成長した優秀な人材の多くは、より高い給料・地位を求めてジョブホッピングしてしまう傾向が強いです。ですから、適切な人事考課を行うことで、優秀な人材とそうでない人材の待遇にきちんと「差を設ける」ことが、優秀な人材を定着させるために大切なことなのです。

注8:2007年までは、試用期間中に自由に契約解除ができ、本採用しても契約期間満了30日前までに継続雇用をするかを決め、不要と判断すれば企業側の一方的な理由で解雇できた。また、労働契約は原則1年であり、雇用調整は契約更新人員の調整で行なえた。


−では、“原石”と“宝石”を見分けることのできる企業とできない企業の差は何だとお考えですか?

“原石”と“宝石”を見分けられるかどうかは「適切な評価基準」及び「各ポストで満たすべき明確な資格要件」の有無で決まります。この2つの要素を持ち合わせているかどうかで、企業間の差は歴然です。優秀な人材を定着できない企業は2つの要素が欠けているだけでなく、それらに基づいた社員教育を行っていないのです。ですから、そうした企業は、まず社員に「自分のポストは、何のために何をすべきか」ということを理解させる教育をしなくてはなりません。しかし実際には、自分の仕事の目的も分からず、ただ汗水たらして一生懸命“動き”回り、“働いた”気になってしまっている人々が少なくないです。なぜなら、彼らは“働く”ことと“動く”ことの意味の違いを認識していないからです。“動く”ということは「付加価値を生まない」のです。残念ながら、こうした社員のマネジメントに対する理解が薄い日系企業の総経理の方も少なくありません。


−なぜ、上海にはマネジメントの経験が少ない日系企業の総経理の方が多いのでしょうか?

最大の原因は「2階級特進制度」という日系企業の悪習です。この制度は、親会社から日本、あるいは海外の子会社に派遣された社員は、元の地位より2階級昇進するというものです。つまり、日本の親会社から中国の子会社に赴任してくる場合、係長は部長へ、課長は副総経理へ、部長は総経理へと昇進します。
ここでの問題は、新規のポストにおける経験がない、且つ十分な教育も受けないまま、2階級も上のポストに就いてしまうということです。また、日本の子会社の多くは、営業から人事、財務と1から10まで親会社の管理下にあります。子会社が経営に関して独自に物事を決定するための、“独立性”が全くないのです。国が異なる以上、“独立性”を持たせなければ経営がうまくいくはずがありません。つまり、中国へ進出する際には中国“支店”または“分工場”ではなく、中国“本社” または“本工場”として進出すべきです。しかし、中国へ進出している企業の親会社の多くは、日本の子会社に対する考え方を中国の子会社にまで持ち込んでしまっています。親会社は「国が違う」ということをまずは認識する必要があるでしょう。


−なぜ、親会社は中国の子会社に“独立性”を与えようとしないのでしょうか?

中国を「下に見ている」からです。これは日本人特有の考え方ですね。中国を見下しているから、初めから“それなりの人材”しか派遣しようとしないのです。確かに、世界の“工場”から“市場”への中国の変化を感じ取った、大手企業の中国子会社に対する姿勢は改善しつつありますが、中国を“分工場”としてしか認識していない企業はあくまで総経理という名の“工場長”しか派遣しません。ある企業の親会社では実際に、総経理のことを“工場長”と呼んでいましたし、企業によっては、総経理は製造以外には関らず、実質“製造部長”というケースすらあります。それだけ、親会社が中国の重要性を軽視しているということです。

このような問題点を踏まえて、私は親会社の中国に対する認識を改めさせるべく、日本でセミナーを行っています。この問題の“発生源”である親会社に訴えかけるという意味で、私の行っているセミナーもまた『源流管理』の一種と言えますね。


−次に、経営管理についてお伺いします。佐藤さんは、具体的にどのような経営管理のコンサルティングを行っているのでしょうか?

「企業経営とは如何なるものか」という基本線を指導し、総経理本人に対し「総経理のあるべき姿」を自覚させ、「あるべき姿」へと総経理を導くための指導を行っています。また、企業全体の経営理念共有化の促進も経営管理のコンサルティングにおける、私の重要な仕事です。実は、私の本業は“総経理指導”なのですが、この看板を掲げると誰も相談に来ません(笑)。ですから、品質管理や労務管理といった面でサポートしつつ、間接的に“総経理指導”を行っていくことにしたのです。


−「総経理のあるべき姿」を総経理本人に自覚させるということは、非常に難しいという印象を受けるのですが、どのように自覚を促すのでしょうか?

もっとも簡単な方法は、まず幹部に「幹部のあるべき姿」を自覚させることです。幹部に変化を起こすことで、その上に立つ総経理に「総経理としての自覚」を促していくのです。総経理ではなく、あえて幹部に「会社を背負っている」ということを認識させるのです。すると、自分の下で働く幹部が必死に働く姿を見た総経理は、自然と「自分自身も変わらなくてはならない」ということに気付き、「総経理のあるべき姿」を認識し始めるのです。私の考えは『性善説』です。人は必ず“変わる”、そう信じています。


−では、佐藤さんの言う「総経理のあるべき姿」とはどのようなものなのでしょうか?

私が考える『尊敬される総経理像』には、“尊敬される人格・人望”、“尊敬される業務能力・決断力”、“尊敬される行動力”という3つの要素が必要です。これらの要素の中で、どれが一番ということはありませんが、最低限3つのうちの2つは持っていてほしいと思います。この3つの要素は総経理だけでなく、駐在員の方にも同様にあてはまります。ただ、総経理より守備範囲が狭いというだけです。ただし、総経理の方も、駐在員の方も「自分は2階級特進で中国に赴任していること」を忘れてはなりません。安易に「自分は本社から来たのだ」と権威をかざすような態度で働けば、優秀な部下を失うことになりかねないからです。


−企業の海外子会社への総経理その他の駐在員の派遣に関して、やはり先程の「2階級特進制度」に大きな問題があると考えられるのですが?

日本の子会社はともかく、海外の子会社に人材を派遣する場合は、この悪習を適用すべきではありません。総経理なら、総経理としての能力を十分に備えた人材を派遣すべきです。余談になりますが、時として“教育”のために海外に人材を派遣する企業があります。海外の子会社は“研修所”ではありません。本人にとっては、海外で働くという機会を与えられるという意味では、得られるものもあり、ある程度の成長が期待できるでしょう。しかし、派遣された人材の成長の裏側で、現地の多くの部下が犠牲になっているのです。たとえ総経理として成長したとしても、やっと総経理らしくなった時に帰国してしまうということが、しばしばあります。

現在は帰国後の源職復帰を前提としているため、総経理は5年、駐在員は3,4年が一般的な赴任期間です。私は、総経理は10年、それ以外の駐在員は5年の赴任期間が最適ではないかと考えています。源職から長い間離れると、復帰が難しくなってしまうので、対策として、赴任時ではなく帰国時に昇進するという方法が有効だと、私は考えています。こうした、人事ローテーションは10年、20年と先を見越した上で、考えていくことが大切です。


−では、もう一つの仕事である「経営理念共有化」についてお聞かせください。

前提として、まずは経営者が自身の経営理念を持つ必要があります。経営理念があって初めて、私がそれを企業内に浸透させるためのお手伝いができるからです。

実際に経営理念を共有する際、総経理が経営理念を社員に直接語りかけ、それを解説するのがもっとも直接的且つ有功的な方法です。その際に社内で共有する経営理念を基に、社員、個人個人の行動理念を意識的に構築させます。そうすることで、共有した経営理念が“実際の行動と結びつく”のです。このプロセスで重要なのは理念を相手に伝えるための「コミュニケーション能力」です。総経理の情熱が伝われば、必ず経営理念は共有化できます。

また、幹部会を利用して、間接的に理念を共有化するという方法もあります。幹部とのやり取りの中で、決定事項を総経理自らの理念に一致させるように議論を誘導していくのです。そして、最後に「よし、それでいこう!」と一言付け加えることで、幹部と総経理の理念を一致させるのです。“みんなで話し合って決めたこと”ですから、幹部はそれをきちんと実行するというわけです。この際に重要なことは、まず幹部よりも“情報量”で一歩先に出ることで優位差を設けることです。しかし、情報量があるからといって、一方的に話すのではなく、“相手の目線”に立って、相手がどう考えるかを読み取る必要があります。「心を傾けて相手の話を聴くこと――“Active Listening(積極的傾聴法)”」が大切なのです。Active Listeningは「聴いて、応える」何れも心が入っています。


−では、中国における製造業についてお伺いします。「世界の工場」から「世界の市場」への過渡期にある中国における、製造業の展望をお聞かせください。

今後、中国製造業は“安かろう、悪かろう”という中国製品に対するイメージを打破し、「より付加価値の高い産業」へと移行する必要があります。一見難しく聞こえるかもしれませんが、要は“下請けからの脱皮”なのです。ただ製品を作るのではなく、製品を“考える”という段階に達するということです。例えば、1万円の洋服を作るとすると、中国の縫製業者に支払うコストを500円、材料費を1500円と考えると、工場でかかるコストは2000円です。ではなぜ、2000円の洋服が、1万円で売られるのでしょうか?もちろん、デパートなどのマージン(利ざや)はありますが、最もコストが掛かる、つまり“付加価値が高い”のは洋服を企画するアパレル会社なのです。「より付加価値の高い産業への移行」とは、まさに「製品を作る側から製品を考える側へ」と、事業を転換することなのです。


−しかし、3月上旬に発表された「4兆元の景気対策」の内訳を見てみると、構造調整・技術改造といった輸出産業への投資は全体の4%(約3700億元)に留まっています。輸出業のGDPに占める割合を考慮すると、輸出産業に対する投資をもっと増やすべきではないでしょうか?

今回の「4兆元の景気対策」は、2010年までの“即効性のある”景気対策を掲げたものです。現時点で、構造調整・技術改造などに多大な投資を行ったとしても、すぐに効果が表れるわけではありません。産業の構造転換には、前提として技術者・管理者が必要ですから、必然的に彼らの教育に時間を要しますが、そうした人材の育成には当然時間を要します。また、研究施設を作ったからといって、すぐに研究成果が出るわけではなく、研究者を育てなくてはいけません。ですから、現時点での投資は3700億元で十分だと思います。構造調整・技術改造には、長期的な視点に立って“時間とともにお金をかけていく”という姿勢が大切です。

4兆元景気対策の内訳
インフラ建設(鉄道・公道・飛行場・水利等)
15000億元
四川大地震復興支援
10000億元
農村民生(飲料水・電力網・道路・メタン・住宅等)
3700億元
省エネ・環境改善・生態建設
2100億元
社会事業(教育・衛生・文化等)
1500億元
構造調整・技術改造
3700億元
社会保障的性格をもつ住宅建設等
4000億元
出所:Searchina


−金融危機の今、中国において日系の製造企業にビジネスチャンスはあるのでしょうか?

「高品質・高信頼度・信頼度の高い納期管理能力」を保つことができれば、今回の金融危機は日系企業には大きなビジネスチャンスになります。少々の値下げでは売り上げが上がらない時代ですが、幸いにして、日本製品への信頼度は高いです。今まで以上に高品質、高信頼度を保てば、中国で確実に日本製品は売れます。

まず、今回の金融危機を乗り切るために日系企業がすべきことは、『在庫圧縮』と『リ・ストラクチャー』です。“お金を生まない”在庫への依存体質から脱却するべく、在庫の縮小に取り組む必要があります。そして、必要なモノを、必要な時に、必要な量だけ生産する『Just in Time生産方式(注9)』を実践するのです。不良資産を一掃し、社員は減らすのではなく、これを機に鍛え直すべきです。今回の金融危機は日系の製造企業にとって、不良品、不良資産、過剰資産、不良社員を作らない仕組みを再構築する“チャンス”なのです。

注9:Just in Time生産方式(JIT)
トヨタ自動車の生産方式の代表的な要素としてよく知られている。
“必要な物を、必要な時に、必要な量だけ生産する”こと。(wikipediaより抜粋)


−最後に、若者(学生・社会人)へのメッセージをお願いします。

日本の60〜70年代の高度経済成長を支え、主役となってきた者は、当時の20・30代の若者です。明治維新を実現させた人々も同じです。我々の世代の人間は「若者が次の時代を作っていく」ということを、身をもって体験しています。しかし、我々の世代の人間が若者の主張を理解してくれないという話をよく聞きます。それは事実であり、我々世代は反省しなければなりません。しかし、若者の主張が、我々が理解できるほどに成熟していないことも事実です。まずは、自らの主張や信念を固めてほしいと思います。それなくしては、我々は理解も支持もできません。

かつて、小松左京氏の『日本沈没』という小説と映画がヒットしました。小松氏が訴えたかったことは「大地震により日本を失い、世界各地で苦労を余儀なくされる“世界から孤立し放浪する日本人”の姿」です。また、中国が行った「中国周辺20数カ国で一番嫌いな国は?」というアンケートでは、3年前まで日本が“トップ”であったという事実を忘れてはいけません。これは何も愛国教育や日中関係の悪化だけが原因ではありません。「日本人の行動」もまた大きな要因なのです。その証拠に「親近感のあるブランドベスト30」では常に半分前後が日系企業ブランドです。「品物はよいが、人間は?国は?」です。したがって、今後もし日本が沈没したとしても、周りの国が手を差し伸べてくれるような日本を創る必要があるのです。それこそが、若者の使命だと思います。

日本は優秀な国であり、日本人は優秀な民族だと誇りをもつべきです。しかし、上に立つ人間こそ謙虚でなくてはいけません。若者には日本人としての誇りと自信を持ちながらも、外国人を見下すのではなく、互いに協力し合って、強く世界へと羽ばたいていただきたいです。


−長時間ありがとうございました。


佐藤中国経営研究所
代表 佐藤忠幸氏


住所:上海市長寧区天山路88弄8号1504室
TEL: 021-3250-5005

インタビュアー:鳥谷拓真
執筆・編集:鳥谷拓真
同行:稲留慶司、日高愛理、大江航
校正担当:福島翼、陳暁夏代、浜田あゆみ


<編集後記>
今回の取材は、「金融危機下における製造業」というテーマのもと、取材の下調べにかなり時間をかけて取材に臨みました。学べば学ぶほど製造業や中国ビジネスの奥深さというものが分かってくる一方、その世界の広さに圧倒されました。取材時も自分の知識不足を痛感しました。しかし、取材・執筆・編集を通して、「自分が知らないということを実感するからこそ、知識を吸収し成長できる」という“源流に遡る”ことができたという意味で、自分にとって大変有意義な取材でした。最後に、2時間30分を超える長時間にわたる取材をお受けいただいた佐藤様に感謝の意を示したいと思います。ありがとうございました。(鳥谷拓真)

<参考HP>
http://www.jil.go.jp/kokunai/blt/bn/2008-02/44-47.pdf
http://www.jniosh.go.jp/icpro/jicosh-old/japanese/country/china/law/laborlaw/lawlecture.html
http://www.sbfnet.cn/useful/management/index.html
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0311&f=column_0311_010.shtml


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